今日、日本は「敬老の日」という祝日です。
「敬」は「尊敬」を、「老」は「老人」を表しています。つまり、今日はお年寄りに感謝や尊敬を表す日です。
今、私は「老人」を「お年寄り」という言葉に変えましたが、それには理由があります。「老人」はちょっと冷たく失礼な感じがするのです。「世界の老人の人口」のように社会について客観的に表す場合はこの言葉を使いますが、最近は「高齢者」のほうをよく使います。
普通の会話の中では、丁寧さのある「お年寄り」を使います。
また、それよりもっと身近で会話的な言葉には、「おじいさん」「おばあさん」があります。自分の祖父母という意味のほかに、一般的な高齢者の意味でも使います。
私は留学生の作文をチェックしているとき、
「50歳ぐらいのおじいさんが歩いてきました。」
という表現を発見して困ってしまったことがあります。
日本では50歳ぐらいの人を「おじいさん」とは呼びません。「高齢者」は一般的に65歳以上の人をさしますが、イメージとしてはそれでもまだ若すぎるぐらいです。70歳を越えたら、やっと「高齢者」や「おじいさん」のイメージに近づきます。でも、世界には日本よりずっと平均寿命が短い国も多いので、この人の国では50歳は「おじいさん」なのかもしれません。
少し考えてから、私はこの人が「50歳ぐらいのおじさん」のつもりで、「おじいさん」と「おじさん」を間違えたのではないかと思いました。この二つの発音の違いは、ただ「じ」の音が長いか、短いかだけではありません。
アクセントの形の違い
おじいさん… 「じ」で上がった音が「い」と伸ばす間に下がる
おじさん… 下がらない
を区別する必要があります。これは「おばあさん」と「おばさん」も同じです。どちらもとても間違えやすい言葉です。
この作文を書いた人に確かめたところ、50歳を「高齢者」「おじいさん」だと考えていたことがわかりました。私は、世界にはまだまだ長生きが難しい国が多いということを考えさせられました。